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甲田烈「妖怪ラヂオ」
前回に引き続いて、今回はゲスト予定が順延となったため、セルフトークスペシャルです。今回はセルフトークです。
最近、不思議なことに気づきました。とりわけトランスパーソナル領域の訓練を積んでいるセラピストならば、この世界が誰にとっても同一の世界であるなどと信じ込むことはないはずなのですが、実はそうであるかもしれない、と。
日常生活を送るうえで、私たちが誰にとっても同一なひとつの世界を生きているという確信はとても便利なものです。いや、それが「確信」として対象化されないくらいに染み付いているかもしれません。しかしこれにはひとつ厄介な点があります。その大きなものの一つとして、私たちの「心」と「外界」が切り離されてしまうために、「ありえない」ことが文字どおり「ありえない」ことになってしまうことです。
「妖怪ラヂオ」では、これまでたびたび注意深くではありますが、常識的には「あり得ない」領域を扱ってきました。なぜなら、ある思考方法を使うことによって、「ありえない」ということはひとつの世界観として解除されるために、「ありえない」ことも「ありえる」こととして考えることが可能になるからです。
ややこしいですね。
たとえば、目の前に「霊」が現れたとします。普通は幻覚かオカルト話かと思います。しかし、それが幻覚であれ錯覚であれ、その当人にとってなにものかがそのように立ち現れたことには疑いがありません。その「疑いようのなさ」まで降りていったとき、この「霊」のような「ありえない」ことも、「ありえる」ことになるということです。そうすると今度は、「霊はあるかないか」という、不毛な論争ではなくて、「その「霊」が確信される条件」を「信憑性を問う」というかたちで問い進めることができます。
そうやって、「妖怪」と呼ばれる諸現象についても、複数の世界観を大切にしながら考えることができるのです。そしてこの思考法は、他のどんなオカルト領域や、日常の領域にも応用が可能です。
今回は、こういった考え方について、お伝えできれば、と思っています。
しかし、ぶっちゃけトークなので、方向性はこれとして、何が出るかは聞いてのお楽しみ、ということで。
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■パーソナリティ:第3週担当 甲田烈(こうだ・れつ)

哲学者・妖怪研究家。
東洋と西洋の哲学・思想を軸としながら、実生活にも応用可能な「非人称的アプローチ」というメタ理論を開発中。不思議な現象が伝えられている現地に赴き、直観的に感じとることと、文献を用いた論理的思考の双方をこよなく愛する。
東洋大学文学研究科博士後期課程満期退学。2004年より相模女子大学非常勤講師・河合塾河合文化教育研究所研究員。著書に『手にとるように哲学がわかる本』(2008年、かんき出版)、共著に『インテグラル理論入門T・U』(2010年、春秋社)がある。
近著は『妖怪を知るためのレッスン』(2015年刊行予定)がある。関連論文多数。
フェイスブック(https://www.facebook.com/retsu.koda)
ブログ「事場師の風景」(http://fieldificator.seesaa.net/)